大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)9531号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被害者幸一は前夜(正確には昭和四四年一月四日の夜)より事故現場からそれ程離れていない処にある飲食店二軒でビール等を飲食し、それ相当に酔つてしまつていた。そのため内妻の岩田年子(昭和一四年生)が迎えに来てふらふら歩きの被害者の手をとり一緒に帰る途中、タクシーをさがしながら歩いて本件事故現場附近にさしかかつた。たまたま時速四〇粁位の速度で新三河島駅方面から尾竹橋通り方面に向つて被告車は先行するタクシーの後方約七、八メートルの車間距離をもつて追従走行中、被害者が京成電鉄側から同伴の岩田年子の制止にもかかわらず、タクシーを止めるべく道路中央附近に歩き出て中央附近に居たのを先行のタクシーは避けて通過したけれども、被告車としては、そこに、うづくまつていた被害者を発見したが衝突を避ける方途に出でる余裕もなく、そのまま右前部を接触させて路上に転倒せしめて本件事故を惹起せしめた。

現場は巾員10.9メートルのアスファルト舗装され直線平担で乾燥しており、夜中のため交通量は閑散であり、制限速度が時速四〇粁に規制されていた照明設備のない暗い処であつて、本件事故の発生に至る概略は別紙見取図のとおりであつた。<証拠判断・略>

以上の認定事実によれば、被害者は酒に酔つて判断力及び身体の自由が不十分なのにもかかわらず、かつ、危険を察知した同伴の内妻の制止を振り切るようにして被告車及びその先行車たるタクシーの到来して来るのを承知のうえで道路中央附近に歩き出て、衝突直前にはうづくまる格好になつていたから、自から不用意な行動に出た過失があるものというべきである。他面、被告車としても前車の動行に順応した措置ができる適当な車間距離を保持して追従すべきであつたにもかかわらず、これを怠つた過失があるというべきである。この過失は単に対先行車との追突等を防止する関係のみで論ぜられるべきものでなく、対歩行者等に対しても過失があつたものと認めるのを相当と解する。従つて被害者と被告車との双方に過失があつて本件事故が発生したものというべく、その過失割合は被害者側が五割、被告車側が五割と認めるのを相当とする。(竜前三郎)

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